@article{oai:takushoku-u.repo.nii.ac.jp:02000062, author = {大森, 裕二}, issue = {50}, journal = {拓殖大学論集. 人文・自然・人間科学研究, The journal of humanities and sciences}, month = {Oct}, note = {『地平の彼方』の冒頭、夕陽を眺めるロバート・メイオーの傍らには新緑のリンゴの木が一本立っている。幼少期、地平の彼方に「善なる妖精の棲み処」を夢想していたと述懐するロバート。ケルトの神話・民間信仰では、夕陽のように真っ赤なリンゴは異界への通路を象徴する果実とみなされ、西方にあるとされる幸福な異界は「リンゴの楽園」と呼ばれた。『地平』同様に、『楡の木陰の欲望』もケルト的モチーフに満ちている。かつてエベンの母の亡霊が出現した場所が台所であった事実は、炉の火と牧畜の守護神ブリギッドを連想させる。また、冒頭のト書きで「雨が降ると涙を流す」と描写される舞台上の楡の木は、楡の木を「よく泣く樹木」とみなしたドルイドの伝承を踏まえている。一方で、楡の木にはイフライムの亡くなった妻たちの霊が宿っているとも考えられるが、世阿弥の『松風』のように、樹木を依り代とする女性霊は日本でも馴染みあるモチーフである。また、祝宴の席で老齢のイフライムが披露する空虚なダンスは、翁舞のパロディにも見える。イフライムが安らぎを求める納屋の牛たちの存在も、牛を聖獣とみなすケルトの伝統を想起させる一方で、十牛図等において人格の霊的発展を導く東洋的心牛のイメージとも共鳴する。 本稿は、以上のような観点から、『楡』におけるケルト的/ユーラシア的意匠について考察しつつ、本作品を人間に対する大地の復讐の成就を描く悲劇として論じる。}, pages = {74--90}, title = {大地の復讐のドラマ ―『楡の木陰の欲望』におけるケルト/ユーラシア的意匠}, year = {2023}, yomi = {オオモリ, ユウジ} }