@article{oai:takushoku-u.repo.nii.ac.jp:02000155, author = {渡邉, 泰洋 and Watanabe, Yasuhiro}, journal = {拓殖大学政治行政研究, The journal of politics and administration}, month = {Mar}, note = {1990年代中葉以降,海外の文献では「予防司法(preventive justice)」が注目され,特にリスク社会の議論やアメリカの9.11事件などと相まって,世界的に予防を目的とした法制度や運用が増加する傾向がみられる。さらに予防司法論には,テロ事件の未然防止だけでなく,迷惑行為や軽微な刑法違反に対する予防的な法的対応が含まれている。これに対して,伝統的な刑法学の議論では過去に行われた行為が前提であり,これに刑罰を加える処罰司法の性格を有するが,他方,予防司法は,むしろ将来のリスク回避のために,事前介入を行うことが目的とされるという相違がある。したがって,予防司法のアプローチには,デュープロセスなどの法手続的側面や憲法上の「行動の自由」の側面からの批判がみられる。 歴史的にみると,18世紀前半にはすでに予防司法概念の活用が見られたが,20世紀前半には人権意識の高まりとともに犯罪発生後の事後予防が重視され,予防司法の議論は衰退した。しかし,1990年代後半から2000年代にかけて犯罪の減少傾向がみられるなか,刑法の規制外の秩序違反行為が社会問題化し,その結果,予防司法論が再興し,とくにイギリスのオックスフォード大学の研究者たちが行った「予防司法」研究プロジェクトは予防司法論を加速させた。 そこで,本論文は,とくにイギリスで1990 年代後半に生まれたASBO(反社会的行動禁止命令)に焦点を当て,予防司法の一部として検討する。ASBOは軽微な違反行為に対する法規制の一例であり,市民に不安を与える犯罪や秩序違反行為に対する予防のあり方が論点となる。わが国では,現在のところ,この種の議論は低調であるが,しかし,秩序違反行為が一部で問題とされており,イギリスの予防司法論の議論の行方は今後の規制の在り方に参考になると思われる。}, pages = {1--22}, title = {イギリスにおける予防司法論の展開 ~ASBO政策に関連して~}, volume = {15}, year = {2024}, yomi = {ワタナベ, ヤスヒロ} }