@article{oai:takushoku-u.repo.nii.ac.jp:00000325, author = {大倉, 正雄 and Okura, Masao}, issue = {2}, journal = {拓殖大学論集. 政治・経済・法律研究, The review of Takushoku University : Politics, economics and law}, month = {Mar}, note = {ウィリアム・ペティ(William Petty, 1623-87)の主著『政治算術』(Political Arithmetick, 1690)は,「政治算術」にもとづいて三列強の国力・経済力を分析した書物である。第1・第3章において,オランダ・フランスの国力・経済力を比較分析し,国力・経済力の大きさを決める究極的要因は,領土・人口ではなく交易であるという結論を導き出している。第4章以降においては,先行する諸章での分析結果を踏まえて,イギリスの国力・経済力を分析している。そこでは,人口は国力・経済力の究極的要因ではないけれども,国民総数に占める「余剰利得者」の割合は重要な要因である,という結論を引き出している。第5・第7・第8章では,他の諸章での算術的分析による結果を踏まえて,イギリスの国力・経済力を強化する政策を提案している。第7章では税制改革案が掲げられている。それは,フランス国王ルイ十四世によるオランダ侵略戦争を目の当たりにして掲げられた,政治力・軍事力を強化する提案である。第8章で示された,雇用の拡大による交易の奨励策は,最も重要な提案である。ここでは,海外交易を重視するオランダ型の経済システムにもとづいて,国力・経済力の強化が図られている。さらに第4章の余論では,「理性的な提案」というよりは,「夢か空想」にすぎないという提案が示されている。イギリスの後進地域(アイルランド,スコットランド・ハイランズ)の全住民を,その先進地域(イングランドなど)に移入させるという提案である。この提案も実際には,算術的分析を踏まえて示された国力・経済力の強化策であり,必ずしも単なる夢想ではない。 『政治算術』は実践的な政策論議を主眼としており,経済科学の理論体系を構築することを目的にして書かれた書物ではない。ところがこの書物では,ベーコン主義の実験哲学を継受しながら,「政治算術」という経済分析方法が考案されている。その算術にもとづいて経済的・社会的事象が分析され,その分析結果を踏まえて政策が提案されている。このような科学的な分析方法を踏まえて編まれた書物は,経済学史のうえにおいて当の『政治算術』が最初である。このような理由により,方法論の観点から,この書物には経済科学の形成の兆しが見られるといえるのである。}, pages = {77--138}, title = {ウィリアム・ペティの政治算術(4) ―ベーコン主義の経済科学―}, volume = {22}, year = {2020}, yomi = {オオクラ, マサオ} }