@article{oai:takushoku-u.repo.nii.ac.jp:00000093, author = {李, 元喆 and 中村, 竜哉 and Li, Yuanzhe}, journal = {拓殖大学経営経理研究, Takushoku University research in management and accounting}, month = {Mar}, note = {本稿の目的は,中小企業に対する会計基準,経営分析の方法,経済政策が大企業とは異なる理由を明らかにすることである。この目的を達成するために,内閣府等が設置した検討会や審議会の資料と議事録を精読する方法を採った。この結果,次の結論が得られた。 日本の会計制度は,会社法大会社に対する会計制度と中小企業の会計制度に二分化されている。中小企業の会計制度として,2005 年8 月に「中小指針」が策定された。「中小指針」は日本基準の簡素版であったため,日本基準から間接的にIFRS のコンバージェンスの影響を受ける。このために,「中小指針」は毎年のように改正される。この点を改善するために,2012 年2 月に,新しい中小企業会計である「中小会計要領」が策定された。「中小会計要領」は,IFRS の影響を受けないという特徴がある。また,「中小会計要領」は財務会計ではなくて管理会計を意識して策定された会計基準である。現時点において,「中小会計要領」は税理士の間では認知度や利用度が高く,普及が見られる。しかし,中小企業の経営者の側では認知度が十分ではなく,経営改善に使われていないという課題がある。 会社(の経営者)と利害関係者との対話手段に関しても,大会社と中小企業では二分化されている。2014 年に「コーポレートガバナンス・コード」,2015 年に「スチュワードシップ・コード」がそれぞれ策定された。これらは上場企業に適用されており,上場企業(の経営者)が投資家と対話するための手段として機能している。しかし,中小企業には一般投資家はほとんどおらず,重要な利害関係者は金融機関(銀行)と取引先,税務当局である。2 つのコードは未上場の中小企業には適用されていない。 アベノミクス第2 ステージでは,地域経済を活性化するための施策が採用されている。ここでは,中小企業はローカル経済圏の中核に位置付けられており,どのような中小企業が中核企業として経営支援されるかを判断する指標として,2016 年3 月4 日に「ローカルベンチマーク」が公表された。これは,中小企業(の経営者)が利害関係者である金融機関と対話するツールとして利用されている。「ローカルベンチマーク」で採用された経営分析指標は6 つしかない。これらは,倒産確率や企業の成長性,生産性向上との影響度合いが認められるとして採用されたものである。現時点では,金融機関や支援機関の側では「ローカルベンチマーク」の認知度は高いが,活用を検討している段階にある。中小企業の経営者の側では認知度が十分ではなく,対話手段として使われていないという課題がある。}, pages = {301--330}, title = {日本の中小企業を巡る会計,対話手段,経済政策に関する一考察}, volume = {112}, year = {2018}, yomi = {リ, ゲンテツ and ナカムラ, タツヤ} }